ソフトクローズ機構付きのスライドドアは、ドアを最後までゆっくりと静かに閉めることが出来ます。一方で、スライドドアは通過時にドアに接触し、けがをしてしまう可能性があります。
ユーザーの困りごとから生まれた新しいソリューション「ディレイドドアダンパー」は、スライドドアを通り抜けるときにドアが閉まってきて通りにくいと感じた方や、スライドドアを更に機能的にしたいと考えているエンジニアの方にお勧めの新しい機械要素部品です。
今回は、スライドドアの新しいソフトクローズ機構について解説しますが、スライドドアに関する基礎的な内容と課題と、これまでのソリューションから説明していますので、スライドドアを熟知している方は「ディレイドドアダンパーがスライドドア使用者に与えるメリット」以降を読んで下さい。
スライドドアとは
スライドドアとは、開口部に取り付けられたドアの一種で、開閉方向が横方向になっているものを指します。一般的に、自動車や鉄道車両、建築物の入り口や建物内の仕切りなどに使用されます。
スライドドアの特徴は、以下のようなものが挙げられます。
1. スペースの節約:
従来の開き戸と比べて、開口部に面しているスペースを取らないため、省スペースで設置可能。
2. 開閉の容易性:
スライドする仕組みにより、ドアの開閉が軽くスムーズであり、力を入れずに操作ができる。
“スライドする仕組み”とは、ドアの重さをベアリングが受けてレール上を走行する状態のこと。
3. バリアフリー性:
従来の開き戸のように、手前へ引いたり、奥へ押したりする必要が無いので、比較的近い距離で開閉できる。
4. 設置場所の自由度:
開口部の大きさや形状に合わせて設置することができ、柔軟性がある。
スライドドアにおけるこれまでのソリューション
古いスライドドアは、ただ横に開閉するだけのものでした。現在は、以下のような課題が解決済みです。
1. 床面の段差に起因する躓きの防止:
床面に戸車が走行するためのレールを設置する代わりに、ドア上方にレールを配置してドアを吊り下げるようにベアリングを設置した。
2. ドアの開放状態防止:
ドアが常に閉まるように、ドア上方に設けたレールに傾斜を設けた。
3. 閉止時の衝撃音緩和と怪我の防止:
ドアが完全に閉まる手前でゆっくりと動くように、ショックアブソーバやダンパーを内蔵した。
スライドドアの課題
ドアを開けたら自動的に閉まる機構を導入したことにより、通過時にドアが閉まりだしてドアに接触してしまう問題が生じたため、現在のスライドドアは、全開位置へのロック機構追加や、全開位置付近のみ緩やかに動くようにダンパーを搭載する解決策が講じられました。
しかし、ドアを全開位置まで開ける必要が無い場合には、ドアは閉まりだし、通過時にドアに接触する危険性を秘めています。例えば、車いすで通過するときや、手すりなどに掴まりながらゆっくり歩くお年寄りや患者さんなど、ドアを通過するために一定の時間を必要とするユーザーの場合は、ドアを全開位置まで開けることなく手を放すので、閉まりだしたドアが接触して危害を与える可能性があります。問題回避のため、ドアの開閉全域にダンパーを機能させることも出来ますが、これではドアを早く閉めることが出来ません。
TOKは、このような課題に注目し、どの位置で手を放しても一定の時間ドアが緩やかに動くようにするソリューションを考案しました。それがディレイドドアダンパーです。
ディレイドドアダンパーを搭載したスライドドアは、全開位置からドアを放したときだけ機能していた一定距離の緩やかな動きが、どの位置でも機能するようになります。全開位置まで開けなくてもドアを放せば一定の距離をゆっくりと動くので、安全にドアを通過出来るようになります。
ドア通過に一定の時間が必要なのは、患者さんや車いすを使う方だけではありません。健常者であっても重い荷物を持っているときには、一度荷物を置いてドアを開けるときがあるでしょう。荷物を持ち直してドアを通過するまで、ドアがゆっくりと動くと安全です。
一定の距離を緩やかに移動したドアは、加速して閉止しますので、ドア閉止に長い時間がかかることはありません。患者も障がい者も安全に通過出来るスライドドアにすることが出来ます。
実際の動きは、動画を見るとよくわかります。
スライドドアの新しいソフトクローズ機構まとめ
ディレイドドアダンパーは、TOKが特許を取得しています。スライドドアの新規設計時に搭載を検討頂くことが最良ですが、市販品でも取り付けられるスペースがあれば、後から取り付けることが出来ます。
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