ロータリーダンパーの使い方|蓋への搭載方法

これを読めば簡単にわかる! ロータリーダンパーの使い方

ロータリーダンパーは、対象物の本体と蓋の間に取り付けて使います。ロータリーダンパーのハウジングとシャフトを相対的に回転させることで、蓋をゆっくり動かすことが出来ます。

水平に閉まる蓋や、斜めに閉まる蓋、ぶら下がるように閉まる蓋など、あらゆる蓋にロータリーダンパーが搭載できますが、蓋の閉まり方によって、ロータリーダンパーの選定が異なることをご存じでしょうか。実際に、ロータリーダンパーを検討したときに、蓋が最後までなかなか閉まらないような経験があれば、それはロータリーダンパーの使い方が適切ではなかった可能性があります。

ロータリーダンパーを検索すると、ロータリーダンパーそのものの情報は多いのですが、具体的にどのように選定し、どのように組み込めばいいのかを、解説した記事は意外と少ないので、今回はロータリーダンパーの動作、使用例を交えて使い方をわかりやすくご説明いたします。

TD99 series rotary dampers

どのように閉まる蓋でも、蓋が水平になった時が最大のモーメントとなるので、ダンパートルクもそれに追随するように水平の時に最大にする必要があります。一般的に、蓋は高トルクなロータリーダンパーを使用する必要がある為、有限角タイプのロータリーダンパーを使用します。当社では有限角ダンパーを3つの動きに分けて製品を分類しています。

水平に閉まる蓋では、全開位置では最小で、閉まり際で最大のトルクが出るように設計しなければならないので、本サイトでは、水平閉止に使える製品一覧にまとめました。自動販売機のように、蓋がぶら下がるように閉まる場合でも、蓋が水平なときにトルクが最大になるロータリーダンパーが必要なのですが、蓋が閉まるにつれて、ダンパートルクを小さくなるものが必要であることから、当サイトでは鉛直閉止に使える製品一覧にまとめました。スタックボックスのように、水平閉止でも鉛直閉止でもなく、斜めに開閉する蓋の場合では、ほぼ全域にわたって均等なトルクが必要ですので、当サイトでは斜め閉止に使える製品一覧にまとめています。

水平閉止に使える製品一覧から、ロータリーダンパーを選定したにもかかわらず、ダンパー効果が弱い場合は、その製品群のトルクが足りないので、斜め閉止に使える製品一覧から選定することで、全開位置からダンパートルクを得られるようになり、ダンパー効果を適正に出来ることがあります。

それぞれの開閉イメージを知りたい方は、こちらからご覧ください。

ロータリーダンパーの取付方法

How to install rotary damper

ロータリーダンパーは、蓋の回転中心に取り付けることが基本です。固定側(製品本体)にメインボディであるロータリーダンパーのハウジングを挿入し、可動側(蓋)にロータリーダンパーのシャフトを取り付けます。ロータリーダンパーのトルクはオイルの粘性抵抗によって得られているわけですが、その粘性抵抗はロータリーダンパーを手で回すことが出来ないくらい強いので、圧入のように回り止めがないと、ダンパー効果は発揮できません。その為、固定側も可動側もロータリーダンパーの回り止め形状に合うように挿入部の形状を合わせる必要があります。

また、ロータリーダンパーは可動範囲を超えて使用すると、折損し、機能しなくなります。ロータリーダンパーが折損した場合は、シャフトの内部で壊れていることが多く、動かしてみると、ダンパーが効かない状態になるので、故障はすぐにわかります。ロータリーダンパーごとに決められた可動範囲と蓋の開閉角度を合わせてご使用ください。

ロータリーダンパーの動作

A lid with a rotary damper

当社のロータリーダンパーは水平位置近傍でゆっくり動くように動作するフィーリングにしてあります。水平閉止の場合は閉まり際、鉛直閉止の場合は全開位置近傍でゆっくり動きます。これは、ロータリーダンパーの内部設計によるものですが、使い方によっては、全域でゆっくりとさせたい場合もあるでしょう。そのような場合には、斜め閉止に使用するロータリーダンパーから選定しますが、フィーリングがイメージ通りでない場合には、ダンパーシャフトの設計を新規に行い、金型を製作することによって、イメージ通りの閉止フィーリングを実現できます。(金型製作にあたっては、生産数量の制約がありますので、打ち合わせが必要となります。)

主な使用例

Toilet piano trash can

最後に、ロータリーダンパーの主な使用例をご紹介いたします。

トイレの便座と便蓋
トイレの便座と便蓋にロータリーダンパーを使用することにより、衝撃音の抑制や、破損防止の効果が得られます。TOKはトイレ向けロータリーダンパーを1991年に上市して以降、多くのお客様へ様々なご要望に沿ったロータリーダンパーを提供してきた実績があります。ほとんどが特注品ですので、お客様の用途に合わせたロータリーダンパーの製造が可能です。トイレ業界に実績のあるカタログ製品には、TD99シリーズというものがあり、耐薬品性があり、トイレ用洗剤に耐性があります。

ピアノの鍵盤蓋
ピアノの鍵盤蓋は非常に重いので、手を滑らせると、指を挟んでしまい、ピアノを弾けなくなるようなけがを負う可能性がありました。ロータリーダンパーを使用することにより、その危険性を回避するだけでなく、ゆっくり閉まることによる高級感が得られます。1994年からピアノ向けロータリーダンパーの生産を開始し、近年では、生産されている多くのピアノにご使用頂いています。TOKでは完成品のピアノに後付け出来るロータリーダンパーも取り扱っています。

ゴミ箱
ペダル式ゴミ箱の蓋が閉じる時に、大きな衝撃音が発生したり、においが飛散したり、ペダルを踏んだときに蓋がばたつきが生じたりすることがあります。しかし、ロータリーダンパーを使用することによって、そのような生活ノイズの解消に役立ちます。ペダル式ゴミ箱に実績のある製品にはTD73シリーズがあり、小径の為、ゴミ箱のヒンジ部に組み込んでも意匠性を崩すことがありません。

今回ご紹介した内容はこちらの動画でもご覧いただけます。

ロータリーダンパーの使い方|蓋への搭載方法 まとめ

今回の内容をまとめると、

・蓋の回転中心にロータリーダンパーを取り付けることが基本です。
・ロータリーダンパーは3つのカテゴリから選ぶことが出来ます。(蓋には有限角ダンパーがおすすめ)
・ロータリーダンパーは可動範囲を超えて使用すると、折損し、機能しなくなります。
・ダンパーシャフトの設計を新規に行い、金型を製作することでイメージ通りの閉止フィーリングを実現できます。

ということをお伝えいたしました。

実際に設計検討をされる際は、トルクの計算が出来るページをご活用いただけます。ウェブサイトではカタログ製品のみ掲載しているので、ご希望の仕様のものが見つからないことも考えられます。特注品のご検討・ご相談がございましたら、こちらのフォームよりご連絡ください。

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