小径高トルクロータリーダンパー | TD22開発ストーリー

Rotary damper TD16 and TD22

TD22は、外径Φ16.2 mmで最大トルク3.92 N・mに対応した小径・高トルクの亜鉛ダイカスト製ロータリーダンパーです。今回は、外径16 mmロータリーダンパーの歴史に関する紹介記事に登場した前身モデルTD4とTD16の改良版、小径・高トルクロータリーダンパー「TD22」をピックアップして開発ストーリーをご紹介します。

Relationship between durability and torque

TD22は、当社で「22種類目」のロータリーダンパーです。開発当時は、ロータリーダンパーの使用実績向上とともに、ロータリーダンパーに対する仕様向上が求められ始めた時期であり、TD22の外観寸法がハウジングの回り止め形状(変則六角形)もそのままであるほどにTD4、TD16を踏襲していることからも、仕様向上のご要望があったことがうかがえます。お客様の立場で考えますと、製品のマイナーチェンジが可能なデザインです。
ロータリーダンパーに求められる寸法以外の仕様向上となると、求められるのは温度特性、ダンピングトルク、耐久性が挙げられます。このうち、温度特性は材質選定である程度の補完は可能ですが、ロータリーダンパーに最適な粘性体であるシリコーンオイルは変えられないため、大幅な改善は期待出来ません。残るはトルクと耐久性で、当時はこの双方を併せ持つことが課題でした。なぜなら、前身モデルのTD4は最大トルク3.92 N・mまで対応しますが、耐久性は期待出来ず、TD16は耐久性1万回の開閉を保証していますが、最大トルクは2.45 N・mでTD4より劣るからです。
このような背景から、TD22開発にあたっては、「最大トルク3.92 N・m・耐久性10万回」が目標となりました。
一方、ロータリーダンパーの搭載にあたっては、蓋を開けるときにはダンピングトルクを感じないことが理想であり、そのためには、蓋を開ける時にはオイル流路が広がり、蓋が閉まるときにはオイル流路が狭くなるようにするためのベーンを内蔵することが必須の要求事項でした。TOKでは、独自に設計した「Uベーン」をTD4から採用して蓋の操作感を良好にしており、この機能はTD22にも適用する必要がありました。

小径高トルクロータリーダンパーTD22開発目標達成手段

「TD4、TD16と同じ外観寸法で最大トルク3.92 N・m、耐久性10万回を満たす」という目標に対し、最大トルクはTD4、耐久性はTD16が参考になります。
まず、TD4が目標トルクを達成しているのに耐久性が不明瞭である原因として、かしめ締結(リベッティング)で組立をしている点に着目しました。TD4はアルミニウム製ハウジングの端面をかしめて完成させるのに対し、TD16はステンレスパイプの両端をかしめて完成させます。このかしめ締結が耐久性に与える影響を考えると、柔らかい材質を使ったTD4の方が脆弱であることが推察されました。なぜなら、ロータリーダンパーは、蓋が閉まるたびに発生する内圧が軸方向にも作用するからです。このことから、組立工法としてかしめ締結をやめてねじ締結にしました。
次に、各部品の材質と形状に着目しました。TD16は、ハウジングとシャフトに耐熱性の良いPPS樹脂を採用しており、樹脂の自己潤滑性を活用している反面、金属ほどの剛性はありません。一方、TD4は亜鉛ダイカストのシャフトとアルミニウムのハウジングで、そこそこの剛性は持っていますが、摺動特性の組み合わせとしては良くありません。そこで、摺動性を考慮すべき部分には樹脂を使い、全体的には亜鉛ダイカストを使って剛性を確保しました。

TD22 durability

組立工法の変更、材質選定による剛性確保と摺動設計の見直しにより、ある程度の耐久性は確保されましたが、目標の10万回耐久には、各部品の肉厚や形状を細かく見直すことで、実現することが出来ました。

小径高トルクロータリーダンパー|TD22開発ストーリー まとめ

piano

TD22は、前身モデルからの改良が功を奏し、1997年のリリース以降、現在もピアノ鍵盤蓋用のロータリーダンパーとしてご採用いただいています。シャフトとハウジングが比較的長い為、組み付けた後に蓋のガタツキが抑えられるメリットがあることを評価いただきました。

TOKは、既存製品を改良し、お客様の要望に応えてきました。既存製品の性能では足りない場合は、お気軽にご連絡ください。

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