ロータリーダンパー|高トルクで外径16mmのニーズについて

Small and high torque rotary dampers

昨今、小径且つ高トルクな外径16mmの有限角ロータリーダンパーのニーズが増えています。

当社売れ筋のロータリーダンパーは外径18mmですが、TOKロータリーダンパー黎明期の1990年は、外径16mmのロータリーダンパーが売れ筋でした。

なぜ外径18mmが標準的位置づけのロータリーダンパーとなり、昨今改めて外径16mmのニーズが増えているのかについて、弊社の記録を基にご紹介します。

Rotary damper TD22

当社で最初の外径16mm製品は、TD4までさかのぼります。(TOKは、ロータリーダンパーを立ち上げた順番に連番で型式を決めています。)TD4はトイレの便座用途に開発され、初の長尺高トルク製品として誕生しました。変則的な六角形の回り止め形状は、対象物への応力集中緩和とポカ除けを兼ね備えています。
当時は、トイレにロータリーダンパーを搭載するニーズはなく、当時のロータリーダンパーが搭載されていない便座は取付部に厚みがない為、必要なトルクを確保しつつ極力外径の小さいものが好まれ、φ16mmで全長90mmという細長い形状となりました。TD22のダンパーハウジング部は、必要なトルクを確保するための長さになりますが、シャフトが長くなったことには別の理由があります。それは、便座にはダンパ機能を持たせてゆっくりと閉まり、便蓋にはロータリーダンパーの長尺シャフトが丁番としての役割を持たせるためだったようです。
その後、製造工程と耐久性能を改善した後継モデルのTD16が開発され、取付に関係するTD4の形状は継承されました。
しかし、TD16は主材料がPPS樹脂でステンレス製の外筒でダンパトルクを補完した設計でトルク2.45Nm以上のニーズに応えることが出来なかった為、材質を変更したTD22が開発され、亜鉛ダイカストをハウジングに採用したことによって、顧客の要求する目標スペックであるトルク3.92Nmを満たすことに成功しました。

ロータリーダンパー成長期(外径18mm)

Rotary damper TD14

成長期は、便座が汎用プラスチックで比重の軽いポリプロピレン樹脂を使うようになり、ロータリーダンパーに求められるトルクもこれまでの半分の1.96Nmで済むようになりましたが、軸方向の長さはデザイン的に制約が出た為、小型化する必要がありました。これは、現在のように便座・便蓋両方にロータリーダンパーを搭載することが求められるようになり、ロータリーダンパーは軸方向の挿入スペースに合うように、小型化する必要性が出たことによるものです。
小型化に伴い、軸方向の長さは半減、トルク不足は外径で補ったことから、外径16mmから外径18mmへ大きくなりました。この外径18mmのロータリーダンパーが定着し、標準的に使われるロータリーダンパーの形状となりました。

ロータリーダンパー成熟期(外径16mm)

Rotary damper TD100 and TD129

近年では、国内だけではなく海外でもトイレにロータリーダンパーが搭載されるようになりました。海外のトイレの材料は比重が重いユリア樹脂が多いため、ロータリーダンパーは比較的高いトルクが求められます。特に、ヨーロッパのトイレはデザインも重視される為、スリムなデザインに対応できる小型高トルクロータリーダンパーが必要となりました。
黎明期に実績のある外径16mmのロータリーダンパーの設計と、これまで改善を重ねてきた設計ノウハウを活用し、TD100が生まれました。その後、更に高トルクへの対応を考慮し、ハウジングをダイカストにしたTD129も開発されました。

ロータリーダンパー|高トルクで外径16mmのニーズについて まとめ

市場のニーズに合わせ、ロータリーダンパーは変化してきましたが、ロータリーダンパーのイノベーションだけでは良い製品は生まれません。ロータリーダンパーを搭載する製品との材質のバランスが重要であり、どちらも破損することなく長期間使用可能にしなければなりません。トルクに合わせて、ロータリーダンパーのサイズを軸方向もしくは外径で変更し、形状を最適化する必要があります。

TOKが持つ設計のノウハウによって、求める性能に合わせた特注対応もいたします。ご興味のある方はぜひご連絡ください。

関連記事
小径高トルクロータリーダンパー | TD129開発ストーリー

フォームが表示されるまでしばらくお待ち下さい。

恐れ入りますが、しばらくお待ちいただいてもフォームが表示されない場合は、こちらまでお問い合わせください。