上開きで垂直に閉まるものにロータリーダンパーを取り付けると、最後まで閉まりにくくなることがあります。
多くの場合、ロータリーダンパーの選定ミスが原因である為、開閉角に合った適切なロータリーダンパーを選定することによって、違和感のない開閉ができるようになります。
TOKは上開きで垂直に閉まることを鉛直閉止と呼んでおり、ロータリーダンパーサイトでは鉛直閉止用のロータリーダンパーをまとめて紹介していますが、こちらでは鉛直閉止の蓋に対するロータリーダンパーの選定と効果についてご説明いたします。
ロータリーダンパーの選定ミスが引き起こす鉛直閉止蓋の動き
上のgif動画では、鉛直閉止の蓋に水平閉止用のロータリーダンパーを搭載した場合の動きを表しています。鉛直閉止の蓋は、水平にしたときに最大のトルクが求められますが、水平閉止用のロータリーダンパーはダンパトルクが最小になっている為、蓋の重さが重力に耐え切れず、すぐに落ちてしまいます。逆に、蓋の閉まり際は、ほぼトルクがいらないにも関わらず、ダンパトルクが最大になる為、蓋が閉じようとする動きに反発してしまい、蓋が最後まで閉じるのに長い時間がかかってしまいます。
不適切なロータリーダンパーを選ぶと、蓋に求められるトルク変化とロータリーダンパーの仕様(トルクカーブ)がミスマッチな為、なかなか蓋が閉まらなくなります。
蓋が閉まるときが最大のモーメントになるということは前回の記事で紹介しましたが、水平閉止用のロータリーダンパーを、鉛直閉止の蓋に搭載すると、閉まりづらいのは、当然のことなのです。
鉛直閉止用ロータリーダンパーを取り付ける際の設計上の注意
ロータリーダンパーは、回転中心に取り付けますが、鉛直閉止の蓋の場合は、蓋の重心が大きく影響します。ロータリーダンパーの取り付け位置を支点にして、蓋をぶら下げた時に、蓋の重心で蓋が完全に閉まらない状態になることがあります。この状態では、何をしても蓋はそもそも最後まで閉まることはありませんから、ロータリーダンパーなしでも蓋が閉まるように、ロータリーダンパーの取り付け位置を決める必要があります。ロータリーダンパーなしの状態でも蓋が斜めにぶら下がる場合は、蓋は閉じません。例えば、自動販売機の場合、取り出し口のフラッパーは重心の位置が奥になるようにくの字に曲げて最後まで蓋が閉じるようにしています。
主な使用例
最後に、ロータリーダンパーの主な使用例をご紹介いたします。
ペットドア
ペットドアに鉛直閉止用のロータリーダンパーを搭載すると、ゆっくりと閉じて、バウンスせずに閉じることが出来ます。
レンジフードのカバー
レンジフードのカバーを開けるときに、勢いよく落ちてくることがあります。ロータリーダンパーを搭載することで、安全にレンジフードのカバーを開けることが出来ます。ただし、熱のかかりにくい場所に配置する必要があります。
壁付折り畳みテーブル・椅子
壁に取り付けられたテーブルや椅子は出し入れする機会が多くなりますが、収納のたびに衝撃音や手を挟む危険に悩まされる可能性があります。ロータリーダンパーを搭載し、ゆっくりと動作させることによって、壁と激しくぶつかることによる衝撃音と跳ね上がりを防ぐことが出来ます。
今回ご紹介した使用例は全て重量が高い製品の為、TD99A6B6の使用をお勧めいたします。
今回ご紹介した内容はこちらの動画でもご覧いただけます。
ロータリーダンパーの構造と蓋の閉まり方|垂直閉止の場合 まとめ
今回の内容をまとめると、
・上開きの垂直閉止の蓋に、鉛直閉止用のロータリーダンパーを搭載するのは必要とされるトルク変化に追随する為である。
・上開きの垂直閉止の蓋に、水平閉止用のロータリーダンパーを搭載すると、トルクミスマッチにより、なかなか閉まらなくなる
・上開きの垂直閉止の蓋重心を考慮して、ロータリーダンパーの取り付け位置を決める
ということをお伝えいたしました。
実際に設計検討をされる際は、トルクの計算が出来るページをご活用いただけます。ウェブサイトではカタログ製品のみ掲載しているので、ご希望の仕様のものが見つからないことも考えられます。特注品のご検討・ご相談がございましたら、こちらのフォームよりご連絡ください。
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