斜めの角度から閉じる蓋に一般的なロータリーダンパーを取り付けた時に、ダンパが効き始めるのが遅いと感じたことはありますか?
一般的なロータリーダンパーは、水平に閉まる蓋を想定してトルク特性を設定している為、斜めの角度から閉じる蓋に使うと、水平の時よりも勢いよく蓋が閉じてしまい、閉まり際のみダンパ効果を発揮することができますが、一定の速度でゆっくりと蓋が閉じることを好まれる場合もあるのではないでしょうか。
蓋の開閉全域でゆっくりと動かしたい場合には、斜め閉止に適したロータリーダンパーをおすすめしております。今回は、斜め閉止の蓋に対するロータリーダンパーの選定や、設計上の注意点についてご説明いたします。
目次
ロータリーダンパーの選定ミスが引き起こす斜め閉止蓋の動き
上のgif動画では、斜め閉止の蓋の動きと一般的なロータリーダンパーのトルク特性を表しています。斜め閉止の蓋は、蓋が水平位置の時に最大のトルクを発揮するトルク特性が必要ですが、一般的なロータリーダンパーは、閉止間際に最大のトルクが出るように設計されています。蓋を開閉全域でゆっくり動かす為には、蓋に必要なトルク特性とロータリーダンパーのトルク特性を合わせなければなりませんので、一般的なロータリーダンパーでは、全域でゆっくりと動かすことは出来ないのです。
斜め閉止蓋用のロータリーダンパーの正しい選定
蓋は水平位置から上げる場合も下げる場合も動けば動くほど必要なトルクが低くなりますので、斜めに閉まる蓋は、水平に閉まる蓋や鉛直に閉まる蓋よりも、トルク変化は少ないです。斜めに閉まる蓋に求められるトルク特性は、厳密には水平位置を中心に穏やかな山のようなトルクカーブになりますが、求められるトルク変化が少ないので、ロータリーダンパーとしては均一なトルクを発揮する特性で差し支えありません。
当社ウェブサイトでは、斜め閉止の蓋に適したロータリーダンパーを紹介しております。
斜め閉止用ロータリーダンパーの設計上の注意点
斜め閉止用の蓋を選定頂くことはもちろんなのですが、開閉角は110度以内にすることが必須です。お勧めする開閉角の設定は、水平位置から上に65度、下に45度の角度であり、斜め閉止用ロータリーダンパーはこの開閉角設定を想定したトルク特性になっており、開閉角全域でゆっくりとした動きを得ることが出来ます。推奨する開閉角設定に対し、開閉角110度を維持した状態で位相を±10度程度変えた場合には、閉止フィーリングは速度の均一性を若干失う可能性がありますので、求める閉止フィーリングに満たない場合には、お問合せ頂ければ、内容に基づいてアドバイス致します。想定される対策は、オイル粘度の変更、水平閉止用または垂直閉止用のロータリーダンパー紹介、特注設計などです。
主な使用例
最後に、斜め閉止用のロータリーダンパーの主な使用例をご紹介いたします。
ゴミ箱
においの飛散抑制や、衝撃音を防止します。
ディスプレイケース
高級感を演出するだけでなく、衝撃がかからないので、アクリル製などの割れやすい蓋の破損を防止します。
フードカバー
ゆっくりと蓋が閉じる為、トレーやトングを持っていて両手がふさがっていたとしても、スムーズに食品を出し入れすることが出来ます。
今回ご紹介した内容はこちらの動画でもご覧いただけます。
ロータリーダンパーの選定と蓋の閉まり方|斜め閉止の場合 まとめ
今回の内容をまとめると、
・斜め閉止の蓋には斜め閉止用のロータリーダンパーを使用する必要がある。
・一般的なロータリーダンパーは閉止間際に最大のトルクが発揮するように設計されているので、開閉全域でゆっくりと蓋を閉めることができない。
・蓋を開閉全域でゆっくり動かす為には、蓋に必要なトルク特性とロータリーダンパーのトルク特性を合わせなければならない。
・お勧めする開閉角の設定は、水平位置から上に65度、下に45度の角度。
・TOKロータリーダンパーサイトには斜め閉止用ロータリーダンパーのまとめページがある。
ということをお伝えいたしました。
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